新潟のラグビー熱、さらに高く。 花園優勝4回の名将、谷崎氏を監督に迎えて 2020年春、新潟食糧農業大学が男子ラグビー部創部

ラグビー 2019/10/31
中井裕副学長と握手を交わす谷崎監督(右)
  • Facebook
  • Twitter
text : inoue kazuo
井上 和男

 新潟食糧農業大学が男子ラグビー部を創部することを発表し、10月28日、中井裕副学長と共に、監督を務めることになった谷崎重幸氏が記者会見に臨んだ。

 「ラグビーは人としての生きる力を育てられる競技だと確信している。その舞台を用意していただいたことに感謝しているし、貢献していきたい」

 

 

 谷崎監督は、多くの日本代表選手を輩出してきた高校ラグビー界の名門・東福岡高校(福岡県)を率いて、「花園」の呼称で親しまれている「全国高等学校ラグビーフットボール選手権大会」をはじめとする3つの全国大会を3連覇。母校である関東大学リーグ戦1部の法政大学監督も務めた。

 そんな歴戦の名将が、「選手ゼロ、監督イチ」(谷崎監督)からのスタートという、茨(いばら)の道を選んだ。

 

 監督就任を打診されたのは今年7月。「現場から離れて1、2年。声を掛けていただいた時、ワクワクするものがあった」。高揚感を胸に、以降、自ら県内外の高校や大会を巡り、無名大学のPRも兼ねながらスカウト活動。12月から始まる花園にも出向いて選手を集めるという。「当面はまず私自身が土台作りをする」と、コーチングスタッフもまたゼロ。全てがこれからだ。

 しかし教員として多くの学生の教育に関わってきた谷崎氏にとって、人間的成長の場を自らの手で一から作り上げられる機会は、願ってもない好機。

 「学生たちは、大学に学びに来て、次のステージでは社会に進む。その過程でいかに彼らを手助けできるか。それが私の指導の理念であり、最も大切にしているところ。ラグビーを通して、自ら率先してチームのために行動するリーダーシップ能力、コミュニケーション能力を身に付けてほしい」

 

 新潟食農大は、日本で初めて食・農・ビジネスを一体的に教育・研究する4年制の食の総合大学として2018年春に開学。現在は2学年約250人の学生が胎内市と新潟市のキャンパスで学んでいる。

 「食」はスポーツと密接な関係にあることから、同大では勉学とスポーツを1本の道として歩むべく、「文武一道」という理念を掲げている。既に開学時には指定強化部として自転車競技部と設立し、インカレや国体に出場。来春にはラグビー部と共に柔道部も指定強化部として創部する予定になっている

 

 新潟県内には大学ラグビー部が新潟大学と上越教育大学にあるが、新潟食農大ラグビー部は関東大学ラグビーフットボール連盟への加盟、リーグ戦での試合を目指す。リーグ戦1部には東海大学や流通経済大学などの全国大学選手権常連の強豪校がいるが、まずはリーグ戦5部B(7人制ラグビーで19年度は4校)からのスタートになる。

 ただし創部してもすぐには加盟できるわけではなく「原則として1年間の活動実績が必要」(同大学関係者)。目標とするリーグ戦1部への道のりはまだかなり先だが、谷崎監督と新潟食農大の果敢なチャレンジに期待したい。

 

profile 谷崎重幸(たにざき・しげゆき)◎1958年(昭和33)4月17日生まれ、三重県志摩市出身。志摩高、法政大ではSO(スタンドオフ)、FB(フルバック)でプレー。1982年に東福岡高に赴任し、監督として全国高等学校ラグビーフットボール大会(花園大会)で優勝4回。2001~03年にはニュージーランドへコーチ留学。09~11年には選抜、国体、花園の全国大会3冠3連覇、公式戦113連勝の偉業を達成した。13~16年は法大監督を務めた。14年文部科学大臣優秀教員表彰。

同カテゴリーピックアップ

このページのトップへ