地元の原石を磨き、全国へ。 厚い信頼が潜在能力を開花させる 〜阿賀野ジュニアバドミントンクラブ〜

バドミントン 2019/11/19
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text : mineaki kuramoto
倉元 峰明

今から十数年前。新潟のジュニアバドミントンチームは北信越ブロックにおいて底辺のレベルにあった。「素質のある新潟の子どもたちがそこで終わるはずがない」。指導者、保護者そして子どもたちが一緒に学んだ15年。今は言える。胸を張って「夢は全国優勝」。

 

体育館に足を踏み入れると、これから始まる練習を待ち望んでいる子どもたち、そして和気あいあいとした保護者の姿がある。そんな温かい雰囲気の下、阿賀野ジュニアバドミントンクラブ(以下、阿賀野ジュニア)のトレーニングがはじまる。

 

阿賀野ジュニアの歴史は2004年から。『平成の大合併』による阿賀野市誕生をきっかけとして、それまで町や村にあったクラブを一つにまとめ、全国を目指そうと発足した。現在は地元の未就学児と小学生、福島からの練習生(小学生2人)を含め、30人が在籍し、地元中心の経験者有志が指導に当たっている。熱心な指導はクラブ発足当初から実を結び、発足した年には小学生バドミントンクラブチーム日本一を決める若葉カップ全国小学生バドミントン大会新潟県予選で男女共2位に入り、初の全国大会出場(以後男子は県予選大会で08年から5連覇。女子も19年に初の県予選大会タイトルをものにしている)。09年には男子チームが4度目の同全国大会出場でベスト8。12年の同全国大会では男子がベスト4の銅メダルに輝いている。また、全国小学生バドミントン選手権大会には阿賀野ジュニアから毎年出場者を送り込むなど、いわば新潟県ジュニアバドミントンクラブの名門チームだ。

 

クラブをまとめるのは伊藤薫監督。コーチを経て06年に代表・監督。14年の全国小学生バドミントン選手権新潟大会では、新潟県小学生バドミントン連盟理事長・大会実行委員長を務めた。
県内スタッフの選手育成と運営の奮起も実り、県勢はこの大会で都道府県対抗戦男子の部優勝、女子の部3位の好成績を残した。とはいえ、ここまでの実績を生み出すまでにはかなりの試行錯誤と時間を費やしたという。伊藤はクラブ発足当時の様子を振り返る。「基礎体力、そしてメンタル面でまだ安定していない子どもたちに対してどのように接し、指導していくか。北信越ブロックでは『いいカモ』として格下に見られていた阿賀野ジュニアや新潟のチームを成長させるため、北信越ブロック以外の近県の指導者や元世界チャンピオンに教えを請い、私もコーチ陣も学ばせていただきました」。また、全国選手権大会の予選となる北信越ブロック大会を勝ち抜くため、福島、群馬、茨城、山形などの近県の小学生連盟に声をかけ、08年に、北信越ブロックを除いた各県のトップ選手のみ参加できる新潟県近県小学生選抜バドミントン大会を開催。選手の勝負強さも身に付けていった。それらの強化策が功を奏し、現在の阿賀野ジュニア、ひいては新潟のジュニアたちが覚醒していくことになる。

 

伊藤自身の指導は「褒めて伸ばす。でも、下手な場合は無理に褒めない。試合では、マッチポイントに近づいても、常に平常心で挑めるように『あと5点は取ろう』と声をかける」。普遍的なものと、年を追うごとに変わっていく子どもたちの気質、製造技術の進化で軽量化されたラケットの特性に合わせた最新のラケットワークやフットワークなど、時代の流れに即した練習方法を取り入れ、「効率よくパフォーマンスを向上させることに力点を置いている」という。

 

 

「実力に応じたクラス分けやきめ細やかな指導をしてくださるので、安心して子どもたちを任せられます」と保護者からの信頼も厚い阿賀野ジュニアは、近年は団体戦での躍進の他に、個人戦でも存在感を増している。多くの選手が好成績を上げる中、佐藤玲(5年)・渡辺暖花(5年)組は昨年末の全国小学生選手権大会で女子ダブルス4年生以下の部第5位(ベスト8)。荒木李佳(2年)は今年5月のヨネックス埼玉オープン大会女子シングルス2年生以下の部3位と、全国の頂点を狙える位置まで確実に成長してきている。

 

 

まだあどけない面持ちの3人に今後の目標を尋ねると、図らずも出た答えは一緒で頼もしい「全国優勝」。地元の原石が磨かれ、全国で光を放つ時まで、そう時間はかからないかもしれない。

 

 

(「Standard新潟」2019年8-9月号掲載)

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